創作物置き場

　　あるのは文章ばかり。
　　管理人はラブとか萌えとか書けない人間なので、まあそのへんは期待せず。

　fate／stay night
　　　　■　彼女の初陣　……セイバー　アーチャー

　機動戦艦ナデシコ
　　　　■　Bystander　……割と変則的な逆行モノ
　　　　　　　　1：渦中の者　（2005／3／14）
　　　　　　　　2：寂寞の花　（2005／3／22）
　　　　　　　　3-1：狭間の彩　（2005／3／31）
　　　　　　　　3-2：決意の日　（2005／4／13）
　　　　　　　　　過去回想・1　（2005／5／22）

　　　　■　ラピスラズリは世を学ぶ　……ラピス視点の小話集
　　　　■　シップチェイス傍受録　……よくあるアキトとルリの通信ネタ集
　　　　■　逆行者の迷走　……逆行モノ設定を考えてるうちに出てきた問題点が
　　　　■　英雄と過保護な罪人　……アキトとルリのアホ話かも

　◆空想◆
　ユーチャリスで宇宙空間を漂っている時には、いつも退屈という敵がいる。
　なんせユーチャリスには私とアキトしかおらず、当然娯楽目的の設備など搭載されていない。必要最小限にまで削り抜いて、その分戦闘力を高めているのだ。
　暇潰しのためにアキトとオセロをやったことがあるが、お互いにリンクで思考を覗いたり偽情報を流したりで混乱し、熱を出してしまった。
　しかし私はそこで気付いた。もしかしたら、私たち二人ならばギャンブルでイカサマし放題ではなかろうか。
　例えばポーカー。アキトが参加している横で、私は他の参加者の手札を覗ける位置に立ち、逐次それを報告する。乗るも降りるも自由自在だ。まさに無敵。
　全宇宙を駆けて数多の賭場に君臨するギャンブラーコンビ。想像してみた。……実にいい。私たちの今後の身の振り方として候補に上げておこう。
　問題はアキトをその気にさせることなのだけれども、私がそういうものに染まることでアキトにも影響が出たりしてくれないものだろうか。

　◆学習◆
　人に限らず、知性ある動物は失敗や成功から様々な学習をしていくものである。ネルガル社員が「説明」という単語を極力使わないことがいい例だろう。
　同じく、アキトの前では料理の話を避けるように、アカツキの前ではアニメの話を避けるように、最近のエリナの前では体重の話を避けるように、など。
　私はどうなのだろう？　私の今までの行動や反応から、他者は私を推し量り、対応を変えているのだろうか。
　それが少し気になったので、目に付いた相手に色々と聞いてみることにした。
「おや、道に迷われましたか？」とプロスは言った。そしてチョコをくれた。私は満足して次へと向かった。
「テンカワとはぐれたのか？」と元一朗は言った。そして飴をくれた。私は満足して次へと向かった。
「……………………」ゴートはむっつりしていた。何もくれなかった。私は「こいつは駄目だ」と学んだ。

　◆考察◆
　外道北辰。あの男のことを考える機会は決して少なくない。私の頭の中に幾つもの疑念が現れ、やがて姿を消す。
　ウニの仲間かなにかだろうか？　電子の海を渡り、北辰とウニの類似点を見つけ出そうとするが、結果は無残なものだった。
　情報規制？　私の眼を逃れるセキュリティなんて、やる。ともかく次のアプローチは形状からの類推だ。すなわちキノコなのではないかということ。
　思いついた瞬間には、私は真理をこの手に掴めたのではないかと心震えたものだったが、どれだけ検索しても出てくるのは地球連合軍の参謀とその亡き息子。
　よくよく考えてみれば北辰は元木連。地球で認知度が低いのも頷ける話である。これではまだ仮説を棄却するのは早計だろう。
　あれ？　アキト、何か用……あああああああ。やめて、丸めたアルミ奥歯で噛むのやめて。

　◆欠乏◆
　アキトには五感がない。だから、たまにムシャクシャして黒板を爪で引っかいたりする。弱点を武器に変える戦術は流石だと思う。
　このように、欠乏というのは辛く悲しいことのように思えるが、決してそればかりではない。持っていないからこそ良い、ということも確実にあるのだ。
　だがそれを理解しない、してくれない人間がいる。そういう人間は、欠けているのならせめて別の物で満たそうとして、挙句失敗する。
　ある日、出撃の直前にエリナが「ラピス……これ、アキト君に渡しておいてね」と言った。
　それは、ハンカチとちり紙と歯ブラシと折りたたみ傘と財布と保険証と各種ポイントカードと定期券が入った手頃なサイズのバッグだった。
　私はそれをベッドの上に放り投げて出撃した。その後エリナに忘れ物を叱られた。そんなんじゃない。わかってほしい。