逆行者の迷走


 Act.1
「ユーチャリス全壊、辺りは無人、金もなし、食料もなし」
「困ったね」
「身分は証明できず、身を寄せる場所もなく、行動を起こそうにも服はコレ」
「不審者だね」
「いつのまにか五感が完治してるとかそういうこともない」
「厳しいシチュエーションだね」

「とりあえず、CCを宝石と偽って売ることにする」
「お金になるといいね」


 Act.2
「一応偽名考えておくか。特に俺は、偶然知り合いと出会ったりする可能性もないわけじゃないし」
「どうだろ? 勘繰られても同姓同名の別人で乗り切れるかも。年齢差もあるし、それに顔を光らせておけば眩しくて直視できない」
「常にハイテンションでいるわけにもいかんだろ。そういう問題でもないが」
「偽名を名乗るにしても、変な名前だったらリンク切る」
「そんなに嫌か?」
「……実は一度言ってみたかっただけ」


 Act.3
『ルリ、俺がお前の父だ』
『ルリ、私が貴女の母だよ』

「いや、母って年齢じゃないだろ」
「駄目? じゃあ姉で」

『よくできたなルリ。偉いぞルリ』
『ばんざーい、ばんざー……あ』

「おい、泣いちゃったぞ。やっぱり俺がいないほうがよかったんじゃないか」
「いやでも私ルリのことよく知らないし……ともかくどうしよう」


 Act.4
「あ、バイザーのバッテリーがそろそろやばい」
「……それ、一つしかなかったよね」
「そうだな。替えがないんだから大切に扱わないと」
「充電くらいなら方法はあるだろうけど……壊れたら私たちじゃどうしようも」
「とか言いつつ、何かを期待してないか」
「別に。3の形の眼とか『メガネメガネ』とかそんなこと何も考えてない」


 Act.5
「ラピス、どう思う?」
「まずは現状の把握。
 1、服を買いたい
 2、しかし今の服装では店に入れない
 3、店に入るためにはマトモな服装をする必要がある
 ……ここまではいいよね」
「ああ」

「そして打開策。
 4、だから店に入って服を買う
 5、店に入れるようになってめでたしめでたし
 ……どう?」
「待て。3と4……あと4と5の繋がりが何か変だ」


 Act.6
「おい、ちゃんと野菜も食べろ」
「でもピーマン苦いよ」
「だからって嫌いなもの全部俺に回すな」
「だってニンジン甘いんだかどうなんだかよくわからないよ」
「そして好きなものだけ俺から取っていくな」
「私が美味しいものだけ食べる。それがアキトにも伝わる。二人とも美味しい。万々歳」
「フルーツの味がする納豆を食う俺の身にもなれ」
「私とアキトは一つ」
「今はそれ置いとけ」


 Act.7
「アキト、私映画を観てみたい」
「……んー。ちょっと難しいかな」
「なんで?」
「映画館ってのは暗いんだよ。で、俺はホラ、あれだから」

「……ああ、光るからね」
「……そう、光るから……」


 Act.8
「アキト、なんか周りの人が引いてるよ」
「……なんでだ? 今はもう、服装にも問題はないはずだが」
「まあバイザーはしてるけどね」
「白いスーツって変かな」
「私にはよくわからないよ」
「やっぱり黒い服に変えようか」
「私もアキトには黒が似合うと思うよ」

「ああ、通りすがりの人の身ぐるみ剥いだのがバレたのかな」
「せっかく悪そうな人を厳選したのにね」


 Act.9
「思えば金色の眼ってのは目立つな。コンタクト入れるか?」
「なんか痛そうでやだ」
「ならサングラスでも買うか。……髪の色は別にいいな。染めてるように思われるだろ」
「だったら、眼もコンタクト入れてるって誤魔化せない?」
「あー、そういえばそれもアリか」
「でもちょっと眼鏡も見てみたい」
「じゃあ、一応行ってみるか」

「アキト、これは?」
「ん? ああ、それは通称ザーマスメガネといって……」
「これにする」
「マジか」


 Act.10
 キュッ キラリ
「……気に入ったのかソレ」
「いつか、自由自在に眼鏡を光らせてみせる」
「……役に立つのか?」
 シュバッ シュバッ
「……ソレは何をやってるんだ?」
「抜く手を見せずに契約書を出す技。まだ練習中」
「……プロスの真似か」
「何となく眼鏡で思いついた」
「じゃあホラ、プロスみたいに笑ってみろ。にこやかにスマイル」

「……………………」
「すまん、無理言った。顔戻せ。なんか北辰と対峙した時の俺みたいになってるぞ」


 ……段々ラピスがおかしくなっていく。

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